【下垂体】
脳に存在し、脳の視床下部から指令を受けて、黄体化ホルモン(LH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)などの性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)を分泌する。性腺刺激ホルモンの他、乳汁分泌ホルモン(PRL)や多くのホルモンの分泌・調整をつかさどる。
【クロミフェン/クロミッド】
商品名はクロミッド・セロフェンなど。経口の排卵誘発剤で最も多く使用されている。排卵率は高いが、12周期投与以降では累積妊娠率は増加しない。しかし人工授精施行時には、排卵がある例でも本剤を使用した場合では妊娠率は高くなる。ゴナドトロピンに比較し、多胎は少なく5%前後で約95%は単胎。
【頸管粘液】
子宮頸部の頸管腺から分泌される粘液。排卵が近づくとエストロゲンの作用で頸管粘液が分泌され、精子をスムーズに子宮内に入れる働きをしている。排卵時におりものが増えるのはこの頸管粘液のためである。しかし分泌が悪い場合は不妊の原因となる。排卵の予測にも使用される。
【原始卵胞】
女性が生まれた時から卵巣の中に持っている原始生殖細胞などをかこむ直径20umの袋。これが将来成熟して成熟卵胞となり、その中の卵子を排卵する。出生時には100〜200万個あるが、40歳前後では2〜3万個まで減少する。卵子は出生後には新たに作られることがなく消費される一方であり、精子が出生後にも新たに産出されることとは対照的である。
【顕微授精(ICSI)】
精子の数が非常に少ない場合、通常の体外受精で受精しない受精障害などが適応となる。いくつか方法があるが、一番行われているのはCSI(イクシー)とよばれている方法で、卵細胞質内に顕微鏡下で細いガラス管に吸引した1匹の精子を卵の中に注入し受精させる方法である。
【顕微授精(IMSI)】
精子の数が非常に少ない場合、通常の体外受精で受精しない受精障害などが適応となる。IMSI(イムジー)とは形態良好精子を選択して顕微授精する方法。通常の顕微授精(200倍)とは異なり、光学顕微鏡の限界に近い高倍率(1000倍:デジタルズーム6000倍)で精子形態を観察し良好精子を選別する技術。
【抗精子抗体】
精子に対する抗体。この中で、運動精子の細胞の表面の抗原と反応する抗体が不妊と関連がある。男女ともにみられる。人工授精では妊娠の可能性が低く、体外受精になることが多い。
【ゴナドトロピン】
性腺刺激ホルモンのこと。下垂体から分泌されるLHおよびFSHと胎盤から分泌されるhCGの3種がある。遺伝子組み換えによるFSHが開発され、外国では排卵誘発剤としてhMG製剤の代わりに使用されている。